ある世界において、歴史の大きな転換点となる場面に現れるとされる者。歴史を作るに値する者を「真」とし、値しない者を「贋」として見なし討伐するために活動する。
現在は在処偽音、もしくはアルギオン・エスト、真贋証明者などと呼称される名は数多い。しかし本名は知られておらずこれらは通称で、決まった姿を持たない不定形生物である。普段こそ「彼」と呼ばれるが本来の性別は不明。もしくはそもそもないのかも知れない。その他、出身地や年齢などの詳細も不明。
歴史の転換点であれば平和な世でも戦乱の世でも関係なく、それに合わせて様々な姿で現れる。それゆえかいつの時代でも色々な目的で彼に興味を示す者が後を絶たないが、多くは無意味は「N」の一文字に辿り着くだけである。
現在の種属は身体が金属等の無機物で出来ている「機鎧属(シスタイド)」ということにしているようだ。また時には自身の情報を失った「壊躯(ヴイクス)」とも呼ばれる。
しかし実際には、世界を綾なす糸「境界意志(ヴォークライン)」の一本であった。
それは彼がかつて住処あるいは拠点としていた国。
いかなる世界であっても、世界を形作るにはそこに存在する「発生/誕生(プラス)」と「消滅/死(マイナス)」のエネルギーの均衡が安定していなければならない。
しかしある時Nの「時間」のエネルギーの均衡が崩壊。これにより過去から未来という一本の時間軸……Nの持つ歴史や可能性が壊されたことにより不自然な歴史改変が発生する。結果Nは最初から存在しない場所とされ、どんな場所だったのかNの住人しか知り得ないものとなった(その住人の所在、生死も不明)。
辛うじて唯一残ったのは意味を失った「N」の一文字のみで、これはどの国も種族も使用しているものではないという。
そもそも、「在処偽音」という表記も一体何処から来たのかも解っていない。
Nevermore(二度とない)、Nobody knows(誰も知らない)、Not exist(存在しない)、Never say never(何が起こるかは分からない・絶対なんてものはない)……?
N崩壊に巻き込まれた彼は、住処だけでなく自分自身に関わる記録と歴史、要は今まで生きて来た事実や痕跡を否定・破壊され、大半の記憶や年齢、本名といったプロフィール、元の姿すら失う事態に見舞われる。
辛うじて自分の存在の消滅だけは免れた彼ではあったが、気付けば自分の姿は本来の姿とはかけ離れた、無数の眼や爪を持つ曖昧で不定形な黒い靄(N素体)と化し、元の姿を思い出すことは出来なくなっていた。
しかし現在の自分に対してそれほど不満はないようで、N崩壊以前の自身の記憶や姿に興味を示すことがないために、以前の自分を取り戻そうとは一切考えていない。
在処偽音の故郷。「N」という文字はどの国の者も知らない記号である。それはこの場所が空間や時間ごと崩壊してしまったからである。在処偽音曰くこの場所で唯一残った文字らしい。
在処偽音以外にもこの場所を出た者がいるという。
Nevermore(二度とない)、Nobody knows(誰も知らない)、Not exist(存在しない)、Never say never(何が起こるかは分からない・絶対なんてものはない)などという意味合いでつけたもの。
「喰得(捕食・吸収)」と「相転(変化)」の能力を持ち、捕食したものを元にしてN素体から様々な姿を取ることが出来る。
型によって性格や振る舞いに若干の差が見られるものもあり、それは元の自分を失ったがゆえである。元々不定形のためか各型で大きさもそれぞれ違う。
喰得は短時間に何度も使用できない、一度の捕食で相転に繋げられない場合は何度か同じようなものを捕食しなければならないなど弱点はあるものの、喰得で捕食すればするほど相転出来る型は増え、事実上相転可能な型は無限にあると言えるかも知れない。
相転によって取られる形態の名称については
「形態→型→式」の順に細分化し、「〇〇形態/〇〇型」と表記する。
更にそこから強化・発展したものは「式」が追加され
「〇〇形態/〇〇型/〇〇式」と表記し、様々に枝分かれしていく。
(カタカナ・スペル表記も同様。「擬人形態/竜鎧型」は「パルソニ・アムドラ(Palsony Amdora)」、「擬人形態/竜鎧型/儀仗式」は「パルソニ・アムドラ・カルナーデ(Palsony Amdora Carunardeh)」と表記される)
型から発展する式はひとつではなく、例えば
「A形態/A型/A式」
「A形態/A型/B式」
「A形態/A型/C式」
……など、延々と追加されていく可能性がある。
N素体から取られる形態は8カテゴリーに分かれている。
(形態名から各ページに飛べます)
・擬人形態
主に二足歩行か人型に近い。道具を扱える。
・形像形態
主に無機物系モチーフで、実体を持つ。金属系ということで液体金属もある。
・潜航形態
水中特化型。ただし泳ぎに秀でているものだけではない。
・蟲殻形態
主に毒を持つ。
蟲モチーフであることが多いが脚の数は問わない。
・翼弦形態
飛行特化型。飛行能力を最大の武器と出来るもの。
・怪樹形態
植物もしくは実体のある不定形。緑のパーツを持つものが多い。
植物とはいえ動けないとは限らない。
・獣面形態
四足歩行の比較的普通の獣型。群を作り出せる。
・零骸形態
実体がなく、非生物的な外見が多い。どちらかといえば精神攻撃系。
例外として弱体化版として「偽音系」も存在している。
偽音「系」なのは本来「形態」の中に含まれないからである。
どれにも当てはまらない形態として「偽音」も存在しており、
それ以外の偽音系の場合は「偽音系/〇〇形態/〇〇型」と表記する。
理屈上全ての型に対して存在するが、弱体化形態のため強化型である「式」の偽音系は存在しない。
一定していない。一人称すら型によっては変わってしまう(大半は「私」)。相手に対しては名前を呼ぶか「お前」が多く、誰に対しても落ち着いた態度、地位を無視した接し方や扱いにそこまで大きな差は見られない。
基本的に討伐対象と見なした者には容赦ない対応をしようとし、もし逃げられても可能な限り追撃を試みる。その道中で実力不足と見るや、自らの力をつけるため罪なき者たちでも容赦なく喰らって回ったりもし、「目的と直接関係のないその他大勢」の命については重要視していない。
ただ、お互いの利害が一致すれば今まで敵対していても突如手の平を返したかのように協力してくれることもある。反面、彼にとってのメリットがなくなればまた敵対する可能性も常にある。
主に単独行動が多いが目的達成のためであれば、一時的に正体を伏せて何らかの組織に身を置いていたりとその限りではない。
一貫して冷酷非情かといえばそうではなく、それは討伐対象に対してだけであり、信頼した相手には相応の優しさも見せる。
前述の通り、「真贋証明」……彼にとっての正史、対象が歴史を作るに値する者(真)かを見定め、「歴史を作るに値しない者」もしくは「正史を作るにあたって障害となる、偽史を作る者」(贋)を討伐することを目的としている。
真と判断した者には手を出さないが、代わりに贋と判断した場合はいかに人々から敬われる英雄や王であっても討伐していく。人によっては悪人を討伐せず善人を討伐するさまが理解不能に映るかも知れない。
特定の国などに属して信念を掲げ、護るために戦うというような道とは全く異なる視点と考え方を持つ。ゆえに相手を単純に善悪で片付けようとはせず、「正義」という言葉を酷く嫌う。
しかしそれが何のための行動か。彼の過去、つまり本来の彼に関わるものだろう。
N素体の項目参照。